テルミニュスのレモンケーキが完成するまで…
前回の記事でレモンケーキの試食会をやり目指す方向性が見えてきました。
(前回の試食会の様子はこちら↓)
テルミニュスの目指すレモンケーキは、
「トップノート、ミドルノート、ラストノートを感じさせるレモンケーキ」です。
これを目指して試作を進めていきましたのでその過程をお見せしていこうと思います。

↑レモンケーキ試作第1号(まだ形も歪ですね。)
レモンをぎゅっと閉じ込めたようにしたかったので、レモンを丸ごとペーストにして使ってみました。



↑レモンをペースト状にしたもの
食べてみると、
「あれっ、思ってたよりレモン感ないな…」
という印象でした。
これだけレモンを丸ごと入れているのになぜ…??
考えた結果、グラスアロー(粉砂糖をレモン果汁で溶いたもの。)とアンビバージュ(焼き菓子に刷毛などを使って塗るシロップのこと)をもっと大切にしてみようと思い試作を重ねました。

酸味を立たせたアンビバージュとグラスアローを使い、上にはレモンのゼストを乗せてみました
食べてみると、
「レモン感は前より随分と強くなったけど、香りが単調でトップノートしかない」
という事に気がつきました。
ここからは全体的な製造工程の見直しを図りました。
まずは、レモンペーストの見直しを行いました。
これまで果肉も含めてレモンを丸ごとレモンケーキに入れていましたが、果肉に水分量があり香り成分を入れる隙が無かったのでレモンピールだけにして、香りを入れる余白を作りました。
そして、そのレモンピール自体に何の香りをどう纏わせるのか。
色々と考え辿り着いたのがスパイスやハーブを使うことでした。
以前スパイスとハーブについて、お菓子作りに活かせそうと思い、スパイスの食べ比べ会をやったことがありその中でも今回のレモンケーキに使えそうな物をいくつか試作してみることにしました。

↑小分けした様々なスパイスやハーブたち
結果、今回はカルダモンとローズマリーを使うことにしました。
カルダモンは「スパイスの女王」とも呼ばれる、爽やかで上品な香りが特徴です。
この香りを加えることで、上品で華やかな印象になり香りの立体感が生まれます。
ローズマリーは清涼感のある力強い香りのハーブです。果肉を入れるのをやめた分のレモンの酸味を下支えする狙いがあります。
スパイスの香りの引き立て方も以前色々と研究していたので、それが今回思わぬところで役に立ちました。

カルダモンとローズマリーを使った試作品
食べてみると、これまでとは全く別物になりました。
トップノートはレモンの力強い香り
ミドルノートはカルダモンとローズマリーの華やかかつ清涼感のある香り
という形になりました。
ここで更に気になったのが、
「少し余韻が足りないかな」
ということです。
ラストノートに該当する部分が無いことに気が付きました。

遂に完成したレモンケーキ
こちらも散々悩んだ末にバニラを使うことにしました。
バニラの主成分であるバニリンは分子量が大きく、揮発しにくい性質を持っているため、レモンやハーブの揮発しやすい香りをバニラが「繋ぎ止める」役割を果たします。
また、食べた瞬間だけでなく飲み込んだ後に鼻に抜けるラストノートが長く、贅沢に感じられるよう設計をしました。
更に、全体的な甘味は香りを楽しめるよう抑えているのでレモンピールの苦味を適度に中和にしてもらう効果も狙っています。


香りが揮発しないようしっとりと焼き上げています
店頭でも当日焼きでレモンケーキはご用意する予定です。ぜひお店に立ち寄る機会があれば食べてみていただけると嬉しいです。
さて、だいぶ駆け足でテルミニュスのレモンケーキが出来るまでをご紹介しましたが本当はこの合間合間に苦悩と試行錯誤の日々がありまして、到底食べられないような失敗も多々ありました。
恥ずかしい部分はカットして、見せられる部分だけをお届けさせていただいておりますことを申し添えておきます✂️
以上、ここまで読んでくださりありがとうございました。
